薪ストーブカタログに記載されている出力や熱量というのは、目安、参考値であって、こっちのメーカーの機種の方が1000キロカロリー高いから暖房能力が上、と考えてはいけない。
メーカーにより検査する数値の基準が一緒でないので、細かな数値を比べ選択の基準とするのはナンセンスだ。もちろん同じメーカー内なら、こっちのほうが出力が高い、という比較は問題ない。
前から書いているけど、現代の薪ストーブの出力は、燃焼室の容積に比例すると思って良い。つまり同時にどれだけの薪を飲み込めるかで、大体の出力は決まる。例えば牛乳パッククラスの薪が同時に5本以上入れば大型。4-5本が中型 というのが大体の目安になる。
出力表記が「目安」だとはいえ・・・・・・「ダン違いの」「異種格闘技」のようなストーブがカタログに併記されている。そのパワー「60,000Kcal/h」!!!!。薪が20本は有に飲み込む。
同じエンジンでもバイクと大型トラック(1万6千cc)位の差がある。同じ「ストーブ」という扱いで????良いのか!!!!
と、この製品のオーダーが昨年末にあった。いくらなんでも・・・・と現場に下見に行くと・・・・。
オーナー様が選択された理由がよくわかった。空手の道場でプレハブ作りで1,2階合わせると150坪近く有り・・・・・確かに大型の薪ストーブを焚いても・・・・・・という状況だった。
先に書いたとおり、出力は薪の量に比例するから。それなりの燃料を消費するわけだけど・・・・・造園業もやっているので、薪は貯めてある、という。
「それではこの機種で行きますか」結論が出たものの・・・はっきり言ってこのような農業用ボイラーのようなものをプレハブとは言え一般家屋に設置するのは初めてである。
後付けだし、予算もないようなので、ケイカル板で遮熱壁(衝立型)を設置して様子を見てもらうことにした。
実はこれが昨年末最終の仕事納めだったのだが・・・・・・。
次の日オーナー様からメールが入っていた。
「熱でケイカル板が割れたみたい!!!どうしたものでしょうか?」
「う!!!!!」って帰省の予定もあり、すぐに見に行くわけにもいかず。対応は年明けにしていただくようにメールを打つのであった。
年が明けて早速駆けつけると・・・・・確かに割れていて・・・・表面も薄らと焦げ色まで付いている。まさか不燃材無機質のケイカル板が一日で割れるとは思ってもみなかった・・・・・・60,000Kcal は半端ない。モンスターだと思った。恐るべしモキ製SL250 と感心している場合ではない。
衝立方式の遮熱板設置という方針はかわらないのだが・・・・熱で燃えず、溶けず、確実な遮熱なおかつ低予算での造作。言うは易しだが・・・・・寝ずに考えたよ。
軽量かつ安価ということで、基本フレームは軽天材という、所謂事務所等の天井材を吊るのに使う軽量角パイプを使う。そこに無塗装のガルバリュウム波板を両面からサンドイッチ。
これ我ながらグッドアイディアだね。実用新案申請したいくらいだ。金属製とはいえ軽量なので、現場で直角部分を接合するまで個々のパネルは持ち運び可能だし、無塗装なので焼ける心配もない。何より波板形状なので、熱での歪みも最小だろうし、下部から空気を吸って上部で排出する、つまり通気の仕組みを簡単に作れる。
でその造作が↓
完成形↓
躯体部分まで二重の空気層ができ、なおかつ36判フルに生かした(高さ1,8m)というモンスターの熱も通しません!仕様になった。
いやあ・・・・・60,000Kカロリー 伊達じゃないね。